私は仕事中の転落事故により右手に麻痺が残り、右肘にも可動域制限があります。
もともとは右利きで、字を書くことに特別な苦手意識はありませんでした。
しかし事故後、利き手である右手が思うように使えなくなり、
字を書く動作を左手で行う必要が出てきました。
右手が使えなくなり、突然始まった左手生活。字を書くという当たり前の行為が、ここまで難しいとは思いませんでした。最初の絶望感から、少しずつ慣れていくまでのリアルな体験と、実際に感じた壁を書きます。
※本記事は個人の体験記です。医療的判断やリハビリ指導を目的としたものではありません。
症状や訓練については、必ず主治医・医療スタッフの指示を優先してください。
「字を書く」という行為を、これまで意識したことがなかった
事故に遭うまで、字を書くことは日常の一部でした。
メモを取る、書類に記入する、サインをする。
どれも特別な意識をせず、自然に右手で行っていました。
しかし事故後、右手が思うように使えなくなり、
それまで無意識だった「字を書く」という行為が、
一気に高いハードルとして立ちはだかりました。
通院のために運転を再開した話も書いています。
可動域が狭い中で感じたハンドルスピナーの違いはこちら。
円柱タイプが握りやすかった理由
右利きが左手で字を書くという現実
左手で字を書く。
言葉にすると簡単ですが、実際にやってみると想像以上に難しいものでした。
ペンの持ち方が分からない。
力の入れ具合が分からない。
思った場所に線が引けない。
それ以前に、ペンを安定して持ち続けること自体が困難でした。
右利きとして何十年も過ごしてきた身体は、
左手で細かい作業をする前提で作られていないのだと、
このとき初めて実感しました。
文字が歪む、読めない、それでも書かなければならない
左手で書いた文字は、自分でも驚くほど歪んでいました。
文字の大きさはバラバラで、線も震え、傾きも一定しません。
自分で書いたはずなのに、
後から読み返すと読めない。
それが何度も続くと、強いストレスを感じるようになりました。
それでも、書かなければならない場面は日常にあります。
病院の書類、役所の手続き、簡単なメモ。
「書けないからやらない」という選択肢はありませんでした。
時間がかかることへの焦りと恥ずかしさ
左手で字を書くと、とにかく時間がかかります。
以前なら数分で終わっていた作業が、
何倍もの時間を必要としました。
人前で書く場面では、
「待たせている」という意識が強くなり、
焦りからさらに字が乱れることもありました。
また、自分の書いた字を他人に見られることに、
恥ずかしさを感じるようになったのも事実です。
右手が使えないことで、左手に無理をさせていた
右手が使えない分、
すべてを左手で補おうとしていました。
その結果、左手や左腕にも疲労が溜まり、
痛みや違和感を感じることが増えました。
「左手まで使えなくなったらどうしよう」
という不安も頭をよぎりました。
「上手に書く」ことを目標にしないと決めた
左手で字を書く練習を続ける中で、
ある時から考え方を変えるようになりました。
それは、
上手に書こうとしない
ということです。
読めればいい。
伝わればいい。
以前と同じ字を書く必要はない。
そう割り切ることで、気持ちが少し楽になりました。
字を書くことが、精神的な負担になる瞬間
左手で字を書くことは、
単なる作業以上の意味を持つようになりました。
うまく書けない字を見るたびに、
「事故前にはできていたこと」が思い出されます。
それが積み重なると、
自分でも気づかないうちに気持ちが沈んでいきました。
それでも、書くことをやめなかった理由
それでも私は、字を書くことをやめませんでした。
理由は単純で、
書かないと生活が回らないからです。
そして、書き続けることで、
少しずつでも「慣れ」が生まれると感じたからです。
そこで私が見つけた便利だと思ったアイテムをご紹介しておきます。
![]()
墨運堂 Pop Corn ゆび鉛筆
これがあれば左手の人差し指で簡単に字を書く事が出来ました。
左手で字を書く生活が教えてくれたこと
左手で字を書くようになってから、
以前当たり前だと思っていたことが、
いかに多かったかを思い知らされました。
同時に、
できない自分を責めすぎないことの大切さも学びました。
同じ立場の方へ
もし、利き手が使えなくなり、
左手で字を書くことに戸惑っている方がいたら、
それは特別なことではありません。
右利きとして長年過ごしてきた身体にとって、
左手で細かい作業をするのは自然なことではないからです。
上手に書けなくてもいい。
時間がかかってもいい。
そう考えるだけで、少し気持ちが楽になるかもしれません。

コメント